太陽光発電所における遠隔監視装置の役割

1. 遠隔監視が無い発電所運営は目隠しをして車を運転するようなもの!?

皆様は車運転する際に運転席で周辺状況や各種メーターを確認されながら運転していると思います。

・人が飛び出してきそうな可能性はないか?

・スピードはどれくらい出ているか?

・燃料残量はどれくらいか?

・その他警告灯は表示されていないか?

これらの状況が全くわからないとしたらどうでしょうか。

怖くて運転などできないと思います。

 

太陽光発電所についても全く同じことが言えます。

国立研究開発法人産業技術総合研究所の調査によると、各種の調査で対象の34%になんらかの不具合がおきていることが確認されました。

これは工業製品としては高い故障率であり、太陽光発電は決してメンテナンスフリーではないということが判明しています。

同様発電所運営においても車の運転と同様事故予知の心構えが必要なのです。

 

では太陽光発電所が正常稼働させ続けるために、どのような「事故予知」を行えばよいのでしょうか。

下記は代表的な例になります。

・各機器は正常に設定されており稼働しているか?

・雑草や影の影響を受けていないか?

・何らかの原因でケーブル断線は起こっていないか?

 

さて次に状態を確認するための手段を考えたいと思います。

 

(1)目視で毎日確認する

もしご自宅の横に発電所があれば毎日確認することも可能でしょう。

ただ多くの場合発電所は所有者様のお住まいとは離れており、毎日確認することは実質不可能です。

 

(2)売電明細を確認する

月1回電力会社から送られてくる売電明細でも発電量を確認することは可能です。

しかし、売電明細のみで正常に発電しているかを判断することは可能でしょうか?

前月の気象状況を勘案し正常であると判断するには専門的な知識が必要になります。

例えばパワーコンディショナー9台設置されている発電所において、1台が止まってしまうと約10%の発電量損失となりますが、これを見つけることはなかなか難しいのではないでしょうか。

又、1ヶ月に1回しか状況を確認する手段が無い為、故障状況が把握できても対応に時間がかかってしまいます。

1年以上もパワコン1台が止まっていたことに気付かなかった・・・

そんなことにもなりかねません。

 

(3)遠隔監視装置を利用する

では、遠隔地から故障状況をリアルタイムに把握するためにはどうしたら良いか?

答えはクラウドを介した遠隔監視装置を利用することです。

ただ遠隔監視装置は様々種類が提供されており、どれを選んだら良いかということについては中々分かりづらいのが現状です。

又、販売施工店からの紹介でそのまま設置ということも多く自分の発電所にどのような遠隔監視が設置されているか深く考えないまま利用してるというケースもあります。

ここではまず様々な遠隔監視装置のメリット・デメリットについてご説明したいと思います。

 

1 全発電量監視タイプ

機能:CTセンサーやスマートメーター等を利用して発電量をリアルタイムに把握できるものです。

メリット:

・設置が比較的容易

デメリット:

・発電量しか分からない為、詳細な発電所状況の把握には不向き

 

2 各パワコンの電流値を比較するタイプ

機能:集電盤内の各パワコンの電流ケーブルにCTセンサーを設置し、個別の電流値を計測します。

メリット:

・設置が比較的容易で、各PCSの電流値が分かるのでPCS個別の故障検知が可能

・電流値の計測なので、パワコンメーカーを選ばず設置が可能

デメリット:

・電流値のみの検知の為、故障の原因特定はできない

 

3 各パワコンデータを取得し監視するタイプ

機能:各パワコンをからRS485やTCP通信と呼ばれる信号でデータを取得し、内部情報を取得・監視を行う

メリット:

・パワコン内部情報が分かるので詳細な故障状況の把握が可能

・各電力会社で行われている出力制御にも対応することができるものもあり、別機器を設置する必要が無い為費用が抑えられる。

デメリット:

・パワコン同士の接続・通信設定を行う必要があり、施工に比較的時間がかかる。

・各パワコンに通信プロトコルが決まっており、メーカーにより非対応の場合がある

 

いかがでしょうか。

 

それぞれの特徴・メリット・デメリットをご理解頂けたかと思います。

価格や発電所の施工状況によりベストな選択は変わってきます。

ただ、いずれにしてもまず設置されているもしくは設置予定の遠隔監視システムの特徴を理解した上で利用するということが大事なのです。

 

2. 遠隔監視システムを利用しているからこそ分かった発電所不具合

ここまで、発電所における遠隔監視システムの必要性や遠隔監視システムの種類についてご説明をしてきました。

次に実際に遠隔監視システムを利用しているからこそ分かった発電量の不具合事例についてご紹介していきたいと思います。

発電量が低下する原因は様々あります。

代表的な原因についてまとめたいと思います。

  1. 自然災害
  2. 設計・施工の問題
  3. 影の影響
  4. 機器故障
  5. 盗難

 

ではそれぞれの状況において、実際の遠隔監視システム上ではどのように確認することが可能でしょうか。

 

(1)自然災害

①落雷

【状況】朝5時に緊急アラートメールが発報

アラート内容はパワコン地絡過電圧による軽故障

【原因】落雷による1次側の停電

【対応】現場にてPCSを再起動

落雷は自然災害の中でも件数が多く、特定の地域に偏って発生し防ぐことが難しいという特徴があります。

まずは迅速な一時対応を行い機器の復旧・状況の確認を行う必要があります。

又、一度起きると複数の機器が故障することも考えられることから保険に加入しておくことも必要でしょう。

 

②火山灰

【状況】想定発電量が算出できる遠隔監視システムを導入。

日射量値から計算した発電量が約104kwhに対し、実際の発電量は約23kwh

だった為アラートメールが発報された。

【原因】火山灰により太陽光モジュールが覆われたことによる発電量の低下

阿蘇山の噴火による火山灰でモジュールが覆われ発電量が極端に低下していました。火山の噴火は可能性は低いですが、一旦発生すると影響が大きく長期間に渡ります。

火山灰は粘性が高い為洗浄に時間がかかるという特徴もあります。

 

(2)設計・施工の問題

1. ストリング配線ミス

【状況】一見すると発電所として正常に稼働しているように見えるが、右上の想定発電量の数値が84%と常に低い状態であった。

原因が不明であった為現場にて調査を実施。

【原因】63回路中8回路でストリングの+-が逆に接続されていた。

約15%の発電低下はこのことが原因であった。

下記のグラフをみると10月24日に接続を修正したことにより、赤の実発電量グラフが緑の想定発電量を上回ることになった。

これは初期施工時のミスが原因です。初期施工時から発電量が低い状態が続き、ケーブル逆接続だとパワコン故障と認識されない為、想定発電量計算が実装されている遠隔監視が設置されていなければ長期間に渡り不具合が放置されていた可能性があります。

工事は人間が行うものである以上、残念ながらミスの可能性は存在します。

いかに素早く発見し是正できるかということが重要です。

 

2. 漏電

【状況】パワコン3番が軽故障、電流・電圧共に0

毎日継続的には起きておらず、時系列で追っていくと雨天時に起きることが判明

【原因】パワコンが漏電を検知し停止

集電盤内のアースが適切に取られていなかった為、雨天時湿気が多い時に漏電が起き、パワコンが停止するという現象が起きていました。

継続的におきていない事象の場合は天候や周期を確認し原因を突き止めることが必要になります。

 

(3)影

【状況】発電所の南側に連系用電柱が立っており、影の影響を受けてしまう。

データを確認すると以下の状況が判明。

・ストリング11回路・12回路で電柱の陰がかかる時間帯で発生電流は、他の回路に比べ50%以下になる

・1日の発生電流は約20%の低下

・全体の発電量には約3.3%低下の影響を及ぼす(冬場のみ)

 

電力会社の電柱による影は影響が避けられないものですが、ストリング配線を変更し影響を最小限に抑える等の対応は可能な場合もありますので、設計時に検討しておくこともの必要です。

 

(4)ケーブル盗難

【状況】遠隔監視システムから通信不通の緊急アラートメールが発報

【原因】幹線ケーブル盗難による電源断

 

遠隔監視装置が通信不通になる原因はいくつかあります。

・通信モジュール機器故障

・電源ブレーカー落ち

・何らかの原因による電源断

この場合は幹線ケーブルが盗難にあったことにより、電源供給が断たれたことが通信不通アラート発報の原因でした。

通信不通になると遠隔からは状況が分からないので現地へ駆け付ける必要がありますが、現地確認をした際には電源が供給されていないのでパワコンも止まっている状態でした。

太陽光発電所は普段人気のない場所に設置されるケースが多く、盗難は全国各地で起きており、高いフェンスを設置する・防犯カメラを設置する等の対策が必要です。

又、保険での対応も可能なので準備しておく必要があるでしょう。

 

2. 安定的な発電所運営をする為には

ご紹介発電所の不具合は事例の中の一部です。

では実際どのようにすれば安定的な発電所運営が可能でしょうか。

 

(1)故障アラートの検知だけではなく、適切な発電量確保ができているか確認ができる遠隔監視装置を導入し、各種の分析を行う

パワーコンディショナーの故障に代表されるような明確な故障はアラート検知だけでも確認が可能ですが、細かい部分の不具合は発電量の分析が必要です。

それには日射量・各パワーコンディショナーの発電量・近隣発電所の発電量との相関を確認する必要があります。

専門知識がない場合は専門家に任せることも必要になるでしょう。

 

(2)保険の対応範囲を把握する

多くの発電所において既に保険には加入していると思いますが、内容の確認が重要です。

以下見落としがちな点を挙げます。

 

・水害に対応しているか

水害は影響が大きく一度おきると全損になる可能性があります。

地域によっては加入不可の場合もありますので、確認することをお勧めします。

 

・売電補償は付いているか

一定期間一部でも発電が出来ていない状態になった場合、復旧するまで時間がかかることもあります。

その間売電を補償できる内容かどうかの確認が必要です。

 

(3)トラブル時の駆け付け体制を構築する

発電所トラブルは突発的に起きることが多く予期することは難しいので、駆け付け体制の構築は必須です。

保守・メンテナンスサービスには駆け付け対応が付随している場合もありますが、年間の回数制限が設定されているケースも多いので、気が付いたら莫大な駆け付け費用がかかっていた・・ということにならないようできれば回数制限の無いサービスを選択すると良いでしょう。

費用的に考えれば発電事業者が自ら保守・点検・管理を行うことが最も望ましいですが、本業を持ちながら遠隔地にある発電所管理を行うことは実際的に難しいと思われます。

その場合、保守メンテナンスサービスを利用することになりますがこれも遠隔監視と同様多種存在するため比較検討をする必要があります。

 

ここではエナジーソリューションズ社が提供する「om’s」の御紹介をしたいと思います。

サービス概要:https://www.oms.energy-itsol.com/

 

【特徴】

1. 遠隔監視サービスが含まれており、発電量の分析も行ってもらえる

エナジーソリューションズは遠隔監視サービス「ソーラーモニター」のメーカーでもあり、全国6千件以上の発電所での採用実績があります。

om’sにはソーラーモニターの費用も含まれており、発電量低下時の分析対応も可能です。

2. 駆け付け回数無制限

年間駆け付け回数に制限が無い為、保守メンテナンス費用の計算がしやすくなっています。

突発的なトラブルの場合も安心して任せることができます。

3. 保険代も含まれている

費用の中に保険代金も含まれており、メンテナンス費用と別に保険代金を支払う必要がありません。

保険会社との交渉等も一任出来る為、手間をかけることなくスムーズな対応が可能です。

 

発電所運営において不安な部分をカバーできている保守メンテナンスサービスとなっていると思われますので、もし現在御困りごとがある場合はエナジーソリューションズ社へ一度ご相談されることをお勧めします。